AI著作権の現在地 ― 米最高裁「AI単独の著作権なし」確定、NYT対OpenAI訴訟は発見段階へ
2026年3月、米最高裁がThaler v. Perlmutter上告を棄却し「AI単独では著作者になれない」が確定。一方NYT対OpenAI訴訟ではChatGPTログ2,000万件の開示が命じられ、AI学習と著作権の本丸の審理が近づいている。
3行まとめ
- 2026年3月2日、米最高裁がThaler v. Perlmutter上告を棄却し「AI単独では著作者になれない」が米国法で確定した
- NYT対OpenAI訴訟ではChatGPTログ2,000万件の開示が命じられ、ディスカバリー(証拠開示)段階に入った
- AI学習が著作権侵害かどうかの本丸はまだ裁判所の判断が出ておらず、フェアユースの議論はこれから
何が起きたか
Thaler v. Perlmutter ── AI単独の著作権は認められない
Baker Donelsonの分析によると、2026年3月2日、米最高裁はThaler v. Perlmutter事件の上告審理を棄却(certiorari denied)した。Stephen Thaler博士がAIシステム「DABUS」を唯一の著作者として著作権登録を求めた事案で、人間の編集や創作的関与は主張されていなかった。
これにより、「人間の創作的関与がないAI生成物には著作権を認めない」とする下級審の判断が確定した。
NYT対OpenAI訴訟 ── 2,000万件のログ開示命令
National Law Reviewの報道によると、2023年12月27日にNew York TimesがOpenAIを提訴した著作権侵害訴訟は、ニューヨーク南部地区連邦地裁(SDNY)で16件の著作権訴訟とともにMDL(多地区訴訟)として統合審理されている。
Sidney Stein判事は一部の請求を棄却したものの、訴訟の大部分は継続を認めた。2026年1月5日、裁判所はOpenAIに対しChatGPTの会話ログ2,000万件の提出を命じた。争点の核心は、モデルが著作権で保護されたコンテンツを記憶し再現する「リガージテーション(逆流)」の実態だ。
2026年6月時点で公判期日は未定であり、まだディスカバリー段階にある。
関連動向:Musk対OpenAI訴訟
Axis Intelligenceのまとめによると、2026年5月18日にはElon MuskがOpenAIを訴えた別件で、陪審が全会一致でMuskの請求は出訴期限を超過していると認定した。
正直に書くと
- Thaler事件は「人間の関与ゼロ」という極端な事案であり、AIを道具として使った人間の著作物の扱いには直接答えていない
- NYT訴訟は証拠開示段階であり、AIの学習データ利用が著作権侵害にあたるかどうかの判決はまだ出ていない
- フェアユースの抗弁が認められるかどうかは裁判の核心部分で、これから審理される
- 2,000万件のログ開示は命じられたが、その内容や分析結果は公開されていない
出典・但し書き
本記事は2026年6月18日時点の情報に基づく。法的判断の解釈はBaker Donelson、National Law Review、Axis Intelligenceの分析による。米国の判例であり、日本の著作権法とは体系が異なる。本記事は情報提供を目的としたものであり、法的助言ではない。
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