2026年6月21日 日曜日
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Transformer著者7/8人、ノーベル賞受賞者──GoogleからAIの立役者が消えていく

AlphaFold開発者John JumperがAnthropicへ、Transformer共同発明者Noam ShazeerがOpenAIへ。Gemini 3.5 Pro発表を控えるGoogleから、AI分野の最重要人物たちが相次いで離脱している。

3行まとめ

  1. 2026年6月、ノーベル化学賞受賞者John JumperがAnthropicへ、Transformer共同発明者Noam ShazeerがOpenAIへ離脱
  2. 2017年のTransformer論文著者8人中7人がすでにGoogleを去り、残留は1人のみ
  3. Gemini 3.5 Proの一般リリースを控える中、Geminiは安定性とベンチマーク評価の両面で批判が続いている

2026年6月18日と19日、2日連続でGoogleからAI分野の象徴的人物が離脱した。現代AIの基礎技術も、最大の科学的成果も、Google/DeepMindから生まれた。だがそれを作った人たちが、もうGoogleにいない。

6月の2大離脱

John Jumper → Anthropic(6月19日発表)

JumperはAlphaFoldの開発リーダーで、2024年にDemis Hassabisと共にノーベル化学賞を受賞した。タンパク質の立体構造予測を根本から変え、2億以上の構造を予測したAlphaFoldは、DeepMindの最大の科学的成果とされる。

Jumper本人はXで以下のように投稿した。

"After nearly 9 years, I have decided to leave Google DeepMind and join Anthropic (after taking some time to recharge)."

(9年近く在籍したGoogle DeepMindを離れ、Anthropicに参加することを決めた。少し充電期間を取ってから。)

Anthropicは2026年に入りウェットラボの開設、Allen InstituteやHoward Hughes Medical Instituteとの提携など、AI×科学の基盤構築を進めている。ノーベル賞受賞者の合流はその延長線上にある(Bloomberg、CNBCの報道による)。

Noam Shazeer → OpenAI(6月18日発表)

Shazeerは2017年の論文「Attention Is All You Need」の共著者で、現代AIの基盤であるTransformerアーキテクチャの共同発明者。Google GeminiのEngineering VP兼共同リードだった。

Googleは2024年、ShazeerをCharacter.AIから約27億ドルで引き戻した。2年足らずでの再離脱となる。OpenAIではLead for AI Architecture Researchに就任するとCNBCが報じている。

Transformer論文著者8人の現在

2017年の「Attention Is All You Need」は現代AIの出発点とされる。その8人の著者の現在を整理した(FourWeekMBA、RiffOn等の報道に基づく)。

著者 現在の所属 Google残留
Noam Shazeer OpenAI(2026年6月〜)
Ashish Vaswani Adept共同創業
Aidan N. Gomez Cohere創業・CEO
Jakob Uszkoreit Inceptive創業
Lukasz Kaiser OpenAI(2021年〜)
Niki Parmar Adept共同創業
Illia Polosukhin NEAR Protocol創業
Lilian Jones Google

8人中7人が離脱。残留は1人のみ。

その他の主要な離脱

Transformer著者とJumper以外にも、DeepMindの中核人材の流出が続いている。

  • David Silver → Ineffable Intelligence創業(2025年11月)。AlphaGoの中心的研究者(Fortune報道)
  • Ioannis Antonoglou → Reflection AI。AlphaGo/AlphaZero共同開発者
  • Laurent Sifre、Karl Tuyls → それぞれAIスタートアップを創業
  • Pete Florence → Generalist AI創業(ロボティクス、Nvidia出資)(TechCrunch報道)
  • Dave Citron → Microsoft AI部門Corporate VP

FourWeekMBAの集計によると、DeepMindからの流出は2025年以降で21人以上が確認されている(Google公式発表ではなく報道ベースの集計)。

一方のGemini:3.5 Proはまだ出ていない

人材流出が進む中、Googleの主力AI製品Geminiは厳しい評価が続いている。

Gemini 3.5 ProはGoogle I/O 2026(5月19日)で発表されたが、2026年6月20日時点でまだ一般リリースされていない。Vertex AI上の限定プレビューにとどまっている。I/Oの壇上でSundar Pichai CEOが「来月」と述べた際、会場からは溜息が漏れたとの報道がある。

先行してリリースされたGemini 3.5 Flashには複数の批判が出ている。

  • 9to5Googleの報道によると、Androidコーディングベンチマークでトップ5に入れず6位
  • BigGo Financeは「IQ Drop」(知性の低下)と表現。複雑な推論で旧世代の3.1 Proに劣るとの指摘
  • トークン消費量の増加により、実質運用コストは前世代比で75%増とする試算もある
  • Google AI Developers Forumでは「The 2026 Stability Crisis: Geminiは最も不安定なフロンティアAI」と題したスレッドが立っている

正直に言うと:まだわからないことが多い

  • 離脱者たちの具体的な離脱理由は、ほとんどの場合公式に語られていない。報酬、研究の自由度、組織文化など推測はあるが、断定できるものではない
  • 「21人以上」の流出数は報道ベースの集計であり、Google公式の発表ではない
  • Gemini 3.5 Proの実力は一般リリース前のため、評価しようがない。Flashの問題がProに引き継がれるかは不明
  • Google側の公式見解(人材流出への反論や対策)は、本記事執筆時点で確認できていない
  • Niki Parmarの2026年時点での所在は未確認(Adept共同創業は確認済み)

ここから何が見えるか

事実の構造だけ整理する。Googleは現代AIの基礎技術(Transformer)と最大の科学的成果(AlphaFold)の両方を生み出した。だがその技術を作った人たちが、ライバル企業(Anthropic、OpenAI)や独立スタートアップに移っている。Gemini 3.5 Proという次の旗艦モデルのリリースを前に、チームの顔ぶれは大きく変わっている。

これが「Google大丈夫なのか」を意味するのか、それとも巨大組織は個人に依存しないのか。判断は読者に委ねる。


本記事は2026年6月20日時点の情報に基づいています。続報があり次第更新します。

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