2026年6月21日 日曜日
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研究· 約8

日本の生成AI個人利用率26.7%──米中との差はなぜ縮まらないのか

総務省の令和7年版情報通信白書によると、日本の生成AI個人利用率は26.7%で前年の9.1%から約3倍に伸びた。しかし中国81.2%・米国68.8%との差は依然として大きい。構造的な理由を整理する。

2026年6月20日時点の情報に基づく。

総務省が2025年7月8日に公表した令和7年版情報通信白書によると、日本の生成AI個人利用率は26.7%だった。前年調査の9.1%から約3倍に伸びたものの、中国(81.2%)、米国(68.8%)、ドイツ(59.2%)との差は依然として大きい。本記事では、この差が生まれている構造的な理由を整理する。

  1. 総務省の令和7年版情報通信白書によると、日本の生成AI個人利用率は26.7%。前年の9.1%から約3倍に増加したが、中国(81.2%)・米国(68.8%)とは40〜54ポイントの差がある
  2. 利用しない理由の最多は「生活や業務に必要ない」(40.4%)、次いで「使い方がわからない」(約4割)──技術の問題というより、用途の見えなさが主因と白書は示唆している
  3. 企業の業務利用率も55.2%で、中国95.8%・米国90.6%・ドイツ90.3%と比べて低く、個人・企業の両面で差がある

数字の整理──4カ国比較

以下は令和7年版情報通信白書に掲載された生成AIサービスの利用経験率(総務省調べ)。

個人利用率 企業業務利用率
中国 81.2% 95.8%
米国 68.8% 90.6%
ドイツ 59.2% 90.3%
日本 26.7% 55.2%

日本だけが個人・企業ともに他の3カ国から大きく離れている。

年代別に見ると何が起きているか

同白書によると、日本国内の年代別利用率は以下の通り。

年代 利用率
20代 44.7%
30代 23.8%
40代 29.6%
50代 19.9%
60代 15.5%

20代が突出して高い一方、30代以上は20%台以下に落ちる。20代の44.7%は日本国内では高い数値だが、米国の全体平均(68.8%)にすら届いていない。

「使わない理由」が示すもの

白書によると、テキスト生成AIサービスを利用しない理由として最も多かったのは「自分の生活や業務に必要ない」(40.4%)で、次いで「使い方がわからない」が約4割だった(総務省調べ)。

この2つの理由は、技術的なアクセス障壁(ツールが手に入らない、通信環境がない)ではなく、用途が見えないという認知の問題を示している。中国や米国では生成AIが検索の代替やコンテンツ制作の道具として日常に組み込まれつつある一方、日本ではまだ「何に使うのか」の段階で止まっている層が多いと白書のデータは読める。

差が縮まりにくい構造的な背景

白書の数字だけでは「なぜ日本が低いのか」の因果は断定できない。ただし、以下の要因が複合的に指摘されている。

1. 英語圏との情報格差

主要な生成AIサービス(ChatGPT、Claude、Gemini等)は英語での利用が先行し、日本語対応は後追いになる傾向がある。Ledge.aiの報道によると、日本語での生成AI関連の情報量自体が英語圏と比べて少なく、「何ができるか」が伝わりにくい環境が続いている。

2. 企業側の慎重姿勢が個人に波及

白書によると、日本企業で生成AIの活用方針を「積極的に活用する」または「領域を限定して利用する」と定めている企業は49.7%にとどまる。職場で使わないものを自宅で使い始める人は少ない。企業の慎重さが個人利用の低さと連動している可能性がある。

3. 「必要ない」が自己強化する構造

「必要ない」と答えた40.4%の人々は、使ったことがないから必要性を感じず、必要性を感じないから使わない、というループに入っている可能性がある。GMO Research & AIの2025年調査でも、日本のユーザーは生成AIの用途を「調べ物」「文章作成」に限定して認識する傾向が指摘されている。用途の幅が見えなければ、「自分には関係ない」という判断は合理的に見える。

大学生として使っている側の実感

筆者は大学生で、レポート作成・情報整理・コーディング補助に日常的に生成AIを使っている。周囲を見ると、使っている学生と使っていない学生の差は「知っているかどうか」ではない。ほぼ全員がChatGPTの名前は知っている。差が出るのは「最初の1回で何を聞いたか」だと感じる。

最初に「面白い話をして」と聞いた人は、つまらない答えが返ってきて二度と開かない。最初に「このレポートの構成を考えて」と聞いた人は、翌日から毎日使うようになる。生成AIは最初の使い方で印象が固定されやすく、その最初の一歩を導く人やきっかけが日本には少ないのだと思う。26.7%という数字は、ツールの性能の問題ではなく、入口の設計の問題を映している。

9.1%から26.7%への伸びをどう見るか

悲観的な数字に見えるが、1年で約3倍という伸び率自体は速い。問題は、中国や米国も同時期に伸びているため、差が縮まっていないことにある。白書の前年調査(令和6年版)と比較すると、各国とも利用率は上昇しており、日本だけが加速しているわけではない。

差を縮めるには、伸び率で上回る必要がある。現時点のデータからは、日本が他国を上回るペースで伸びているという根拠は確認できない。

出典・但し書き

出典:

但し書き:

  • 本記事の数値は総務省の令和7年版情報通信白書(2025年7月8日公表)に基づく。調査時点・調査方法の詳細は白書本文を参照されたい。
  • 各国の利用率は調査手法(オンライン調査か対面か、対象年齢層等)が異なる可能性があり、単純な横比較には限界がある。白書本文でも調査手法の差異についての注記がある可能性があるが、本記事執筆時点では概要版での確認にとどまっている。
  • 「差が縮まりにくい構造的な背景」の節は、白書のデータと各報道の指摘をもとにした筆者の整理であり、因果関係を実証したものではない。
  • 「大学生としての実感」の節は筆者個人の観察に基づく。
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