SpaceX、AIコーディングツール「Cursor」運営のAnysphereを600億ドルで買収へ──IPO直後の巨額全株式取引
SpaceXがAIコーディングツールCursorを開発するAnysphereを600億ドル(約9兆円)の全株式取引で買収すると発表した。史上最大のVC支援スタートアップ買収となる。2026年第3四半期のクローズを見込む。
2026年6月16日、SpaceXはAIコーディングツール「Cursor」を開発するAnysphere(本社サンフランシスコ)を600億ドル(約9兆円)の全株式取引で買収すると発表した。CNBCおよびTechCrunchの報道によると、クローズは2026年第3四半期を見込んでおり、規制当局の承認を条件とする。VC支援スタートアップの買収としては史上最大規模となる。
- SpaceXがAnysphere(Cursor)を600億ドルの全株式取引で買収へ──VC支援スタートアップ買収として史上最大(CNBC・TechCrunch報道)
- 発表はSpaceXの750億ドルIPO(史上最大)のわずか4日後。SpaceXは2026年4月に取得していた買収オプションを行使した形(Bloomberg報道)
- Cursorの年間経常収益(ARR)は2025年11月に10億ドル突破、2026年には数十億ドル規模に拡大中(Yahoo Finance報道)
何が起きたのか
SpaceXのSEC提出書類によると、同社は2026年4月時点でAnysphereに対する買収オプションを取得していた。Bloomberg報道によれば、このオプションは「600億ドルでの買収」または「100億ドル規模のパートナーシップ」の二択だった。SpaceXは前者を選択した。
発表のタイミングは、SpaceXが6月12日にNasdaqに上場し、750億ドルを調達した直後にあたる。TechCrunchはこれを「史上最大のIPOのわずか4日後の、史上最大のスタートアップ買収」と報じている。
Anysphereとは何か
Anysphereは2022年、Michael Truell氏ら4人のMIT出身者によって設立された。同社が開発するCursorは、AIを活用したコーディング支援ツールで、コードの生成・編集・レビューを行う。
Quartz報道によると、Cursorは2025年11月に10億ドルのARRを達成し、SaaS企業としては史上最速でその水準に到達した。Fortune 500企業の64%が利用しているとの報道もある(AI Business)。買収前の評価額は約300億ドルで、Andreessen Horowitz、Thrive Capital、Accel、Coatueなどから総額34億ドルを調達していた(CNBC報道)。
SpaceX側の意図として報じられていること
複数の報道が指摘する背景は、2026年2月にSpaceXと合併したxAIとの連携だ。AI Business報道によると、xAIが運営するメンフィスのスーパーコンピュータクラスタ「Colossus」へのアクセスをCursorに提供することで、Cursorが以前から課題としていた計算資源の不足を解消する狙いがあるとされる。
Cursor CEOのMichael Truell氏は声明で「SpaceXがオプションを行使し、世界で最も有用なAIモデルの構築を目指す」と述べた(Yahoo Finance報道)。
なお、この買収がAIコーディング市場全体にどのような影響を与えるかについては、本記事執筆時点では具体的な分析が出揃っていない。
AI時短ラボの視点から一つ
筆者はCursorを日常の制作パイプラインで使っている側の人間だ。この買収で気になるのは、Cursorが今後もサードパーティのAIモデル(Anthropic Claude、OpenAI GPT等)を自由に統合できる中立的なツールであり続けるのか、それともxAIのモデルへの依存度が高まるのかという点だ。使う側にとっては、どのモデルを選べるかがツールの価値を左右する。買収の規模よりも、その後のモデル選択の自由度がCursorユーザーにとっての本質的な問いだと考えている。
出典・但し書き
- 本記事は2026年6月20日時点の情報に基づく。買収は規制当局の承認を条件としており、クローズ前に条件が変更される可能性がある
- ARRの数値は報道元によって10億ドル〜40億ドルと幅がある(時点・集計方法の違いによるものと推測されるが、本記事ではCNBC報道の「2025年11月に10億ドル突破」を基準とした)
- 筆者はCursorの有料ユーザーであり、利害関係の開示として記載する
📎 出典・一次ソース
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