2026年6月11日 木曜日
AI時短ラボ
検証· 約8

Claude Designを仕事で使い倒してみた ― 雑に頼むと外れ、構造で頼むと化ける

Anthropic Labsのデザイン特化ワークスペース「Claude Design」を実案件(ゲームのタイトルロゴ制作)に投入した実機レビュー。1回目は失敗、2回目で6案+書き出しツールまで自動生成。成否を分けたプロンプトの型と、Claude Codeとの分業フローまで全部見せる。

3行まとめ

  1. Claude Designは claude.ai/design で使えるデザイン特化ワークスペース(研究プレビュー・Pro以上)。プロトタイプ・スライド・ロゴ・デザインシステムを会話で作れる
  2. 実案件に投入したら、雑な依頼は外れ、要件を構造化した依頼は6案+書き出しツール付きで化けた。AIデザイナーの当たり外れは「頼み方」でほぼ決まる
  3. 完成デザインは「Send to local coding agent」でClaude Codeに直接ハンドオフできる。デザインAIと実装AIの分業が公式機能になった

Claude Designとは何か

Claude Designは、Anthropicの実験部門「Anthropic Labs」が2026年4月17日に公開したデザイン特化のワークスペースだ。claude.ai/design にアクセスすると、通常のチャットとは別の、キャンバスを中心とした画面が開く。

公式の説明をそのまま引くと、作れるのは「デザイン、インタラクティブなプロトタイプ、スライドデッキ、ワンページャー、マーケティング素材」。やり方は会話だ。欲しいものを言葉で説明するとClaudeが最初の版を作り、そこから会話・インラインコメント・直接編集、さらにはClaudeが案件に合わせて自作するカスタムスライダーで詰めていく。

提供条件は以下の通り(執筆時点)。

  • 対象プラン: Pro / Max / Team / Enterprise
  • 位置づけ: 研究プレビュー(Research Preview)=仕様が変わる可能性がある実験段階
  • エンジン: 公開時点ではOpus 4.7(Anthropicが「最も高性能なvisionモデル」と説明)。執筆時点では、モデル選択でFable 5も選べることを編集部の画面で確認した

「チームのデザインシステムを全プロジェクトに自動適用できる」ことも公式が挙げる目玉のひとつで、会社の見た目に揃った資料を誰でも量産できる、という売りだ。

実際に使ってみた ― 1回目は外れた

ここからが本題。当ラボでは現在ブラウザゲームを制作しており、そのタイトルロゴをClaude Designに発注してみた。

正直に書くと、1回目は使い物にならなかった。「ゲームの画面スクショを渡して、いい感じにデザインを刷新して」という雑な頼み方をした結果、返ってきたのは方向性のぼやけた、どこかで見たようなものだった。この時点での率直な感想は「思ってたのと違う」である。

ただ、これはツールが悪いのか、頼み方が悪いのか。切り分けるために、2回目は依頼文を作り込んだ。

2回目 ― 要件を構造化したら化けた

2回目に投げたのは、おおよそ次の構造の依頼文だ。

ゲームのタイトルロゴを作ってほしい。

【ゲーム】和風の城VS城バトルゲーム。かわいさと迫力の両立
【作るもの】タイトルロゴを、方向性の違う6案(横長)
【様式】毛筆・筆文字の勢いを主役に。案ごとに流派を変える
(勘亭流/江戸文字/隷書/かすれ筆/版画文字)
【配色】岩絵具系=墨黒・朱赤・金・胡粉白・群青。1案2〜3色まで
【禁止】黒背景×シアン/紫のテックグラデ、ゲーミングRGB風、ネオン
【出力】背景透過PNGで書き出せる形で

結果は別物だった。6案すべてが指定どおり別の流派で出てきたうえ、勝手に気の利いた仕事までしてきた。具体的には:

  • 各案に「背景:紙/墨/透過チェッカー」の切り替えボタン付き
  • 各案に「透過PNG書き出し」ボタンが付いた、インタラクティブな選定ページとして納品された(2倍解像度で書き出される)
  • 案ごとに「勘亭流×金箔の霞」「江戸文字×和紙の質感」のようなコンセプト名付き

つまり「ロゴ6案の画像」ではなく「ロゴを選んで書き出すための小さなツール」が返ってきた。頼んでいないが、明らかに作業の先回りである。

成否を分けたもの ― プロンプトの型

1回目と2回目の差分を整理すると、効いたのは次の4点だと考えている(ここは検証1件にもとづく仮説なので、そのつもりで読んでほしい)。

  1. 数を指定する(「6案、方向性を変えて」)― 1案だけ頼むとAIの平均値が出る。複数案で散らすと当たりが出る
  2. 様式を固有名詞で指定する(勘亭流・江戸文字・岩絵具)― 「和風で」「かっこよく」は平均値への片道切符
  3. 禁止事項を書く(テックグラデ禁止)― AIデザインの「ありがち」は、禁止しないと必ず混入する
  4. 出力形式を指定する(透過PNG・横長)― 用途を伝えると、書き出しまで設計してくれる

Claude Codeとの分業 ― ハンドオフが公式機能

もうひとつの目玉が連携だ。Claude Designで作ったデザインは、エクスポートメニューから「Send to local coding agent」「Send to Claude Code Web」を選んで、そのままClaude Codeに渡せる(公式ヘルプに記載のある正式フロー)。

当ラボの場合は、納品された選定ページの「透過PNG書き出し」ボタンを、ローカルのClaude Codeが自動で全部クリックして6案分のPNGを回収・リネームまで済ませた。人間がやったのは依頼文を書くことと、案を眺めることだけである。

「デザインは視覚特化のAIに、実装はコード特化のAIに、人間は要件と判断に集中する」――この分業が公式機能として用意されたのは、地味だが大きい。デザインツールとエンジニアの間で延々と続いてきた「書き出してSlackで送って…」が一手で消える。

料金と使える条件(再掲)

  • claude.ai の Proプラン以上で追加課金なしに使える(研究プレビュー期間)
  • claude.ai/design にブラウザでアクセスするだけ。インストール不要

正直な注意点

持ち上げたので、粗も書いておく。

  • 研究プレビューの粗はある。公式ヘルプ自身が、インラインコメントが消えることがある(チャットに貼り直せば回避可)、コンパクトレイアウトで保存エラーが出ることがある(フル表示に切り替えて再試行)と案内している
  • 雑に頼むと平凡。上述の通り、1回目の出力は実用に届かなかった。プロンプトを設計する前提のツールだと考えたほうがいい
  • 研究プレビューなので、仕様・提供条件は予告なく変わりうる。本記事の内容は執筆時点(2026年6月11日)のもの

まとめ ― 「デザイナーAI」ではなく「デザイン工程AI」

1日使った結論。Claude Designは「センスのいい絵を1枚くれるAI」と期待すると裏切られ、「デザイン工程(要件→案出し→選定→書き出し→実装連携)を丸ごと圧縮する道具」として使うと化ける。

特に、複数案を流派指定で散らして人間が選ぶ使い方は、デザイナーでない人間がデザインの意思決定をするための現実的な型だと感じた。当ラボでは今後、サイトやサムネの制作にも常用する予定だ。続報はこのサイトで追っていく。

検証環境: claude.ai Proプラン / 2026年6月10日実施。本記事の「使ってみた」パートは編集部の実体験にもとづく。

📎 出典・一次ソース

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